「恐れるべきミス」
ガードに限らず、自分の思った事を口にするというのはとても難しいことだ。 自分に自信が無かったり、それが間違いであったり、新たな波紋を呼んだり、 言うことによって生まれるたくさんの摩擦は、人が生活をする上ではストレス となるからだろうか。 自分の恐れているミスと言うものは思った以上に小さく、 自分の恐れるべきミスはもっと深い位置にあるものだと、そう僕は思う。 僕達ライフガードにとって、人の命を守ること、安全を守ることは最も大切で、 最も恐れるべきミスの原因になる。 僕はライフセービングの活動を通じて、この事を学んだ。 今、僕の言った言葉で何かが起きても、次に僕が理解して謝ることができれば この問題は大きなミスではなく、価値のあるミスとして僕の心に残るのだろう。 しかし、謝るチャンスも勇気もなく終わってしまうとただのミスであり、一生 心に残る後悔なのだろう。 僕にとっては、謝るべき相手のいるミスなんてミスとは言えないものだ。 後悔という圧力の大きさが自分に襲ってくる事を考えれば、解決の糸口がある ものなど、自分の努力次第でどうにでもなるちっぽけなストレスだからだろう。 そう考えれば、世の中には多くの取り返しのつくミスと、ほんのごくわずかの 取り返しのつかないミスがある。 最近、海で練習する後輩達を見ながら、一緒に練習する自分を見ていて思った。 ライフガードを志し頑張っている僕の後輩にもきっとそういう事を伝えたいのだ ろう。少し立ち止まって、ゆっくり考えてみれば、小さなストレスに悩まされ、 自分の成し遂げたい夢や希望を曇らせていることに気づくのではないだろうか。 自分にとって本当に大切なことは何であるか、そして何が自分の人生において 本当の意味でストレスとなるのか、その答えが自分の中にはっきりとした時に たくさんの小さなしがらみから離れて、きっとよりゆとりのある生活と、 本当の意味で人に優しい生活を送れるのだと思う。 人は生きてるだけで十分幸せだと思う、 だから「今」と言う時間を大切に生きて行きたい。 Toru